ぼくの兄の場合

新刊

16歳年下の弟である著者が、戦争で命を落とした兄の残した日記や手紙を通じて、「家族」とは、「戦争」とは何かを自問する意欲作。

著者 ウーヴェ・ティム
松永 美穂
ジャンル 新刊
一般書 > 海外文学 > 小説
おすすめ
シリーズ 一般書 > エクス・リブリス
出版年月日 2018/07/13
ISBN 9784560090565
判型・ページ数 4-6・191ページ
定価 本体2,200円+税
在庫 在庫あり

内容説明

戦争の記憶から浮かび上がるある家族の物語

「兄の短い人生は、わたし自身に対して多くの問いを突きつける。」ウーヴェ・ティム

1942年、ナチ・ドイツの武装親衛隊に入隊し、翌年、19歳の若さで戦死した兄。弟である著者が、残された日記や手紙から兄の人生を再構成しつつ、「戦争の記憶」とは何かを問いかける意欲作。

ナチズムに疑いをもつことなく戦地に赴き、19歳で命を落とした兄。弟である著者が、残された日記や手紙から兄の人生を再構成しながら、「戦争」とは何か、「家族」とは何かを問いかける意欲作。
16歳年上の兄はヒトラーユーゲントの教育に染まり、武装親衛隊の「髑髏師団」に入隊、ウクライナで戦死した。戦後民主主義の教育を受けて育った第一世代である著者は、兄の遺した日記や手紙を読みながら、戦争の記憶をほとんどもたない自身の半生、両親や姉の人生を振り返る。そしてナチズムと国家による暴力、戦時下の小市民の生活について、短いテクストの集積で語りつつ、読む者に深い問いを投げかける。
わずかな手がかりをもとに、亡き兄の人生について考察する本書の書きぶりは、小説というよりも自伝、あるいはノンフィクションの手触りに近い。身近でありながらほとんど知ることのなかった肉親への情、戦争に向き合おうとすることの困難、葛藤が随所に表われ、日本の読者にも考えさせられるところが大きい。
著者は1940年生まれ。2003年に出版した自伝的な本書は、ドイツにおける記憶の文化とナチスについて社会的な議論を巻き起こした。

[原題]Am Beispiel meines Bruders

[著者略歴]
ウーヴェ・ティム Uwe Timm
1940年ハンブルク生まれ。家業の毛皮製品店を継ぐべく修行をするが、父の死後、店をたたんで大学入学資格を取得。ミュンヘン大学で哲学とドイツ文学を学び、パリのソルボンヌ大学にも留学。戦後の西ドイツで民主主義教育を受けた第一世代にあたり、パリから戻った1967年以降、学生運動にも参加。1970年代から作家活動を始め、1993年の『カレーソーセージをめぐるレーナの物語』(河出書房新社)、2001年の『赤』などの作品で一躍人気作家に。2001年バイエルン芸術アカデミー賞を受賞。他にも2009年のハインリヒ・ベル賞など数多くの文学賞を受賞している。2003年に刊行した自伝的な本書は、ドイツにおける記憶の文化とナチスについて社会的な議論を巻き起こした。最新作はIkarien(2017)。ミュンヘン在住。

[訳者略歴]
松永美穂(まつなが・みほ)
ドイツ文学者、翻訳家
早稲田大学文学学術院文化構想学部教授
主要訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』(毎日出版文化賞特別賞受賞)、『階段を下りる女』、ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ『ヴォルテール、ただいま参上!』(以上、新潮社)、ヘルマン・ヘッセ『車輪の下で』、ライナー・マリア・リルケ『マルテの手記』(以上、光文社古典新約文庫)、著書に『誤解でございます』(清流出版)など

*略歴は刊行時のものです

2,200円+税

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