房思琪の初恋の楽園

房思琪は高級マンションに住む13歳の文学好きな美少女。国語教師から性的虐待を受ける関係に陥り…。台湾社会の闇を抉る衝撃作

著者 林 奕含
泉 京鹿
【中華民國文化部賛助出版】  
ジャンル 一般書 >  海外文学 >  小説
おすすめ
出版年月日 2019/10/24
ISBN 9784560097007
判型・ページ数 4-6・272ページ
定価 2,200円(本体2,000円+税)
在庫 品切れ・重版未定

内容説明

台湾で25万部突破! 台湾社会を震撼させた、実話にもとづく傑作長篇

著者は1991年生まれの女性作家。デビュー作である本書に「実話をもとにした小説である」と記したことから、著者の実体験なのではと大騒ぎとなった。刊行2か月後に著者が自殺。台湾社会を震撼させた。
文学好きな房思琪と劉怡婷は高雄の高級マンションに暮らす幼なじみ。美しい房思琪は、13歳のとき、下の階に住む憧れの五十代の国語教師に作文を見てあげると誘われ、部屋に行くと強姦される。異常な愛を強いられる関係から抜け出せなくなり、房思琪の心身はしだいに壊れていく…。房思琪が記した日記を見つけた劉怡婷は、5年に及ぶ愛と苦しみの日々の全貌を知り、ある決意をするが…。
一方、同じマンションの最上階の裕福な家庭に嫁いだ二十代の女性・伊紋の物語も同時に描かれる。伊紋は少女二人によく本を読んであげていた。だが実は夫からのDVに悩み、少女らに文学を語ることが救いとなっていたのだ。
人も羨む高級マンションの住民たちの実情を少女の純粋で繊細な感性によって捉えることで、社会全体の構造的な問題が浮かび上がってくる。過度な学歴社会、格差社会、権力主義の背後にある大人の偽善、隠蔽体質…。なぜ少女の心の声を大人が気づけなかったのか。文学の力とは何か。多くの問いを投げかける。

[目次]
第1章 楽園
第2章 失楽園
第3章 復楽園

あとがき
訳者あとがき

[書名ヨミ]ファンスーチーノハツコイノラクエン

[著者略歴]

林 奕含(リン・イーハン)
1991年3月16日~2017年4月27日
台湾・台南で名の知られた皮膚科医の娘として生まれ、幼少期から作文や数学で優秀な成績を収め、学内外で多くの表彰を受ける。高校二年のときにうつ病を患う。2009年、台北医学大学医学部に入学するが、二週間で休学。その後、三度の自殺未遂。2012年に国立政治大学文学部中国文学科に入学、三年生のときに再び休学。2017年2月初めに、デビュー作であり唯一の著作である本書『房思琪の初恋の楽園』を出版。その二か月後に自殺。「これは実話をもとにした小説である」と本書に記されていることから、台湾社会に大きな波紋を呼んだ。

[訳者略歴]
泉京鹿(いずみ・きょうか)
1971年、東京生まれ。フェリス女学院大学文学部日本文学科卒業。北京大学留学、博報堂北京事務所を経てライター、メディアコーディネーター、翻訳者として16年間北京で暮らす。主な訳書に、余華『兄弟 上・下』(文春文庫)、閻連科『炸裂志』(河出書房新社)、王躍文『紫禁城の月――大清相国 清の宰相 陳廷敬 上・下』(共訳、メディア総合研究所)、九把刀『あの頃、君を追いかけた』(共訳、講談社文庫)など。朝日新聞GLOBE「世界の書店から」で中国のベストセラー紹介を2009年より連載。大学非常勤講師。

定価2,200円
(本体2,000円+税)

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