内容説明
終わらぬ混迷の「黒幕」は?
ピュリツァー賞作家が描く三つ巴の攻防
9.11から米軍主導の掃討作戦が終結した2014年まで、アフガン、パキスタン、アメリカの三つ巴の攻防を詳細に描いた大作。[口絵4頁]
「アフガン問題」の核心に迫る
アフガニスタンの混迷はなぜ終わらないのか――。9.11テロ事件から20年近い歳月が過ぎた今も、アフガニスタンは安定とはほど遠い状況にある。
本書は、長年にわたる綿密な取材と膨大な資料調査に基づいて、アメリカ、パキスタン、アフガニスタンを中心に関連諸国の外交・軍事・諜報活動や、アル・カーイダ、タリバーンの動向を詳細に描き、「アフガン問題」の核心に迫った大作である。なかでも注目されるのは、「最大の黒幕」と言われるパキスタンのスパイ機関、三軍統合情報局(ISI)とCIAの動きを執拗に追っている点だ。
9.11以降、アフガン空爆、ビン・ラディン殺害、無人機による攻撃の激化、タリバーンとアル・カーイダの復活、駐留米軍の大幅削減といった重要な出来事が相次いだ2014年までのアメリカの関与、暗躍するISIの実態、反体制武装勢力の動向を、他を圧倒する筆力と情報量で描いた骨太のノンフィクションである。ピュリツァー賞を受賞した前作『アフガン諜報戦争』(小社刊)に続く、調査報道の白眉。全米批評家協会賞受賞!
[目次]
地図一覧/主要登場人物/主要略語一覧/はじめに
第1部 手探りの開戦
第1章 「ハーリドに事情ができた」
第2章 審判の日
第3章 かくのごとき友人たち
第4章 リスクマネジメント
第5章 破滅的な成功
第2部 遠のく平和
第6章 ささやかな変化
第7章 タリバーンのカルザイ支持
第8章 謎
第9章 「あの人のやり方は自分たちとは違っていた」
第10章 ミスター・ビッグ
第11章 大使対決
第12章 海の中に穴を掘る
第13章 過激派
第3部 誠意
第14章 自爆の謎を解明せよ
第15章 プラン・アフガニスタン
第16章 暗殺と闇の国家
第17章 ハードデータ
第18章 愛の鞭
第19章 テロと闇の国家
原注
[原題]Directorate S
[著者略歴]
スティーブ・コール(Steve Coll)
コロンビア大学ジャーナリズム大学院長、『ニューヨーカー』誌スタッフライター。1958年、ワシントンDC生まれ。『ワシントン・ポスト』南アジア支局長(1989~92年)、同紙編集局長(1998~2004年)を歴任。1990年に米証券取引委員会に関する報道でピュリツァー賞を、2005年に『アフガン諜報戦争(Ghost Wars)』でふたたび同賞を受賞したほか、2019年には本書で全米批評家協会賞を受賞。2007~13年、シンクタンク「ニューアメリカ財団」の会長を務めた。 主な著書に、The Deal of the Century(1986)、The Taking of Getty Oil(1987)、 Eagle on the Street(共著、1991)、On the Grand Trunk Road(1994)、The Bin Ladens(2008)が、邦訳書に『アフガン諜報戦争(上下)』(白水社)、『石油の帝国』(ダイヤモンド社)がある。
[訳者略歴]
笠井亮平(かさい・りょうへい)
1976年愛知県生まれ。岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員。中央大学総合政策学部卒業後、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科で修士号取得。在中国、在インド、在パキスタンの日本大使館で外務省専門調査員として勤務。横浜市立大学、駒澤大学などで非常勤講師を務める。著書に『モディが変えるインド』『インド独立の志士「朝子」』(以上、白水社)、共著に『軍事大国化するインド』(亜紀書房)、『台頭するインド・中国』(千倉書房)、訳書に『ネオ・チャイナ』(白水社)などがある。
*略歴は刊行時のものです