いかさま師ノリス

1930年代、政治と文化が花開くベルリン。ワケありな紳士ノリスは東奔西走で大忙し。ナチス台頭前夜の狂乱の日々を描く予見的傑作

著者 クリストファー・イシャウッド
木村 政則
ジャンル 一般書 >  海外文学 >  小説
おすすめ
シリーズ 一般書 > エクス・リブリス・クラシックス
出版年月日 2020/11/27
ISBN 9784560099162
判型・ページ数 4-6・270ページ
定価 3,960円(本体3,600円+税)
在庫 在庫あり

内容説明

恐怖はいつの間にか、もうそこに。

1930年代、政治と文化が花開くベルリン。ワケありな紳士ノリスは東奔西走で大忙し。ナチス台頭前夜の狂乱の日々を描く予見的傑作。

1930年代、ワイマール文化が咲き誇るベルリン。語り手ウィリアムはアーサー・ノリスと知り合った。立派な身なりをした教養人で貿易業をしているという。ノリスを介しウィリアムは癖のある面々と出会う。ノリスは贅沢な乱痴気生活をしては困窮して姿を消し、次に現われたときには大金を手にしている。彼はまた、多くのベルリン市民と同じように政治にも関心を見せた。ある時、ウィリアムは彼に代わり、取引先に知り合いの男爵を引き合わせるよう頼まれる。だが実は、ノリスの取引先とはさる情報機関だった……。
ノリスの滑稽な言動には毎回笑わせられるが、本書は単純な喜劇に終わらず、奥深い。共産党やナチスに対する市民の熱狂が渦巻いていた当時、ベルリンに暮らしていた著者イシャウッドは、1935年に本書を発表した。ナチスによる敵対者への残虐な弾圧が広く知られる前にその危うさを描きこんだ鋭さには驚くばかり。熱狂の影で進む恐怖はいつ、どこの国でも起こりうる。いま我々もノリスを笑っていられるだろうかと背筋が寒くなる。
ナチス台頭前夜の狂乱の日々を鋭い洞察力で描く、イシャウッドの予見的傑作、新訳で登場。

[著者略歴]
クリストファー・イシャウッド
1904年、イングランドの裕福な家庭に生まれる。ケンブリッジ大学を退学処分となり、ロンドンで家庭教師などをしながら本格的に小説を書きはじめる。28年、第一長篇All the Conspiratorsを発表後、幼馴染W・H・オーデンの誘いで、ベルリンに向かう。ワイマール文化華やかなりしベルリンでの経験を基に書いた本書『いかさま師ノリス』(1935)とGoodbye to Berlin(1939)で不動の地位を確立。後者はミュージカル・映画の名作『キャバレー』にもなった。また、文学界の新潮流「オーデン・グループ」を形成し注目された。39年、オーデンと共に渡米。カリフォルニアで出会ったヒンドゥー教に傾倒。グレタ・ガルボ、ストラヴィンスキー、オルダス・ハクスリー、テネシー・ウィリアムズ、デイヴィッド・ホックニーらと親交を結ぶ。46年、アメリカに帰化。後期の代表作にA Single Man(1964)がある。86年、カリフォルニアのサンタモニカにて逝去。

[訳者略歴]
木村政則(きむら・まさのり)
1968年生まれ。英米文学翻訳家。著書に『20世紀末イギリス小説――アポカリプスに向かって』。訳書に『モーム短篇集――マウントドレイゴ卿/パーティの前に』サマセット・モーム、『チャタレー夫人の恋人』D・H・ロレンス。『見えない日本の紳士たち』『国境の向こう側』グレアム・グリーン(共訳)。『バン、バン! はい死んだ』『寝ても覚めても夢』『ブロディ先生の青春』『あなたの自伝、お書きします』ミュリエル・スパーク。

定価3,960円
(本体3,600円+税)

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