内容説明
感染症に襲われた世界でのサバイバルを描く
ニューヨーク公共図書館若獅子賞受賞作品
中国発の熱病が世界を襲い、NYは無人となり、感染者はゾンビ化する…生存をかけた旅路の果ては? 中国系作家によるパンデミック小説。
〈ニューヨーク公共図書館若獅子賞〉受賞作品
中国が発生源の未知の病「シェン熱」が世界を襲い、感染者はゾンビ化し、死に至る。無人のニューヨークから最後に脱出した中国移民のキャンディスは、生存者のグループに拾われる……生存をかけたその旅路の果ては? 中国系米国作家が放つ、震撼のパンデミック小説!
六歳のとき中国からアメリカに移民したキャンディスは、大学卒業後にニューヨークへとやってくる。出版製作会社に職を得るも、やりがいは見出せない。だがそんな日常は、二〇一一年に「シェン熱」が中国で発生したことで一変する。感染するとゾンビ化し、生活習慣のひとつを繰り返しながら死に至るという奇病で、有効な治療法はない。熱病はニューヨークへも押し寄せる。恋人や同僚をはじめ、人々が脱出していくなか、故郷のない彼女は、社員の去ったオフィスに残る。機能不全に陥った街には、もはや正気を失い息絶えた熱病感染者と自分しかいない―ある日、彼女はついにニューヨークを去る決心をする。そして脱出の途上で、ある生存者のグループに拾われ、安全な〈施設〉へ向かうという彼らの仲間に入れてもらうのだが、それはキャンディスにとって、新たな試練の始まりだった……。
[著者略歴]
リン・マー
1983年、中国福建省三明市に生まれる。幼少期に家族とともに渡米し、ユタ州やネブラスカ州やカンザス州で暮らす。シカゴ大学を卒業後、ジャーナリストや編集者の職を経て、コーネル大学の大学院創作科で学ぶ。現在はシカゴ大学英文学科で教職に就いている。 かつての職場でのリストラ体験をもとに怒り半分、冗談半分に書いた短篇をのちに長篇小説として完成させ、2018年に発表したのが本作『断絶』である。このデビュー作は発表当初から高い評価を受け、翌2019年にはニューヨーク公共図書館若獅子賞を受賞、2020年にはホワイティング賞の小説部門に選出されている。