内容説明
フランスで人気の性科学者の自伝的エッセイ
序文に「コロナ禍を経て、伝えたいこと。」
セクソローグという職業から、生に寄り添う──。多様性あふれる患者を診察してきた、フランスで人気の性科学者による自伝的エッセイ。
コーランにもとづく、「服従」しないための療法。
フェミニストでありながら、イスラムのスカーフを被ること─。これは、スカーフを女性差別の象徴としてみなす西洋のフェミニストたちに理解されにくく、議論の的となってきました。でも、それが、ナディア・エル・ブガの流儀です。宗教に敬虔であることとフェミニストであることは、矛盾しません。
イスラムというと女性蔑視の因習的な宗教という先入観や、テロと短絡的に結びつける傾向もあるでしょう。そんな誤解や偏見は、イスラム法を学んで、モスクで講和を行なう専門知識をそなえたナディアが、丁寧にときほぐします。
この本は、イスラムの聖典をひもときながら男女平等を説き、セクシュアリテの封印を解く、フランスで人気の性科学医(セクソローグ)による自伝的エッセイです。
セックスやジェンダーに悩むひとに、コーランにもとづく、「服従」しないための療法を!
診療室をおとずれる多様性をかかえた患者の生に寄りそってきた著者ならではのアドバイスや語り口は、どれも魅力的で、イスラム文化のみならず性教育に関心を持つ読者にも有意義。日本の読者へのメッセージ「コロナ禍を経て、伝えたいこと。」も収録。装丁=名久井直子。
[原題]La sexualité dévoilée : sexologue, féminist et musulmane
[著者略歴]
ナディア・エル・ブガ(Nadia El Bouga)
モロッコ出身の両親のもと、パリに生まれ育つ。敬虔なムスリム(イスラム教徒)であり、フェミニスト。セクソローグ(性専門医)としてパリ近郊に診察室を開設し、フリーランスの助産師としても活動。またアラブ・イスラム系のFMラジオ局『ブールFM』でパーソナリティーを務め、セクシュアリティーに関する時評で人気がある。
[著者略歴]
ヴィクトリア・ゲラン(Victoria Gairin)
週刊誌『ル・ポワン』記者。
[訳者略歴]
中村富美子(なかむら・ふみこ)
ジャーナリスト、翻訳家、大学講師
パリ第10大学DEA(前期博士課程)修了。アートと社会の関係を中心に、週刊誌、月刊誌などに寄稿。翻訳書に『マルクス取り扱い説明書』(つげ書房新社、共訳)、『消去』(現代企画室)。