内容説明
高まる欧州の支配力の源泉を解き明かす
ブレグジットから欧州ポピュリズムまで、果たしてEUは衰退しているのか? 実証研究が浮き彫りにしたEUの驚くべき世界支配の実相
米中に対抗する「規制帝国」の全貌
欧州の時代はもう終わったと言われる。
EUは現在、侵略に手を染めたロシア、各国を蝕むポピュリズムや権威主義、さらにブレグジットに象徴されるあらゆる脅威に直面している。
こうした状況下、EUを最も熱心に支持する人々でさえ、EUの衰退が避けられないと思い込んでしまうのかもしれない。
本書によれば、実際に起きている事態は全く正反対である。すなわち、あらゆる難題にもかかわらず、EUは依然として、自らのイメージで世界を形づくる、影響力のあるスーパーパワーであり続けているのである。
さらにEUの支配力は、ブレグジットやトランプ政権に典型的な自国第一主義によってかえって強化されたという。
昨今のEU衰退論は、「規範形成力」が全く視野に入っていない。本書ではこの規範形成力を「ブリュッセル効果」と呼んで、プライバシーから環境・食品安全まで、その重要性がますます高まっていることを事実に基づいて確認していく。
「規制帝国」を支えるメカニズムはいかなるものか、またこの帝国がいつまで持続するのかを見事に解明した空前絶後のEU論。
[著者略歴]
アニュ・ブラッドフォード
1975年生。ヘルシンキ大学法学部卒業後、同大学院で法学修士号を取得。その後、ハーバード大学ロースクールで法学博士号を取得している。2014年からコロンビア大学ロースクール(大学院)で国際法・国際機構論教授を務めるとともに、欧州法研究所長を兼務している。
[監訳者略歴]
庄司克宏
慶應義塾大学名誉教授、中央大学総合政策学部教授。著書に『欧州連合』(岩波新書)、『欧州ポピュリズム』(ちくま新書)他。