内容説明
最も古く、いまなお新しい繊維
最古の繊維といわれるリネン。その歴史から特徴、生産、製造工程、関連産業を概説。解説では国内産業の歴史や海外の現況に触れる。
リネン産業は古代エジプトで花開き、紀元前四千年には頂点を迎えた。遺跡の壁には、リネンの花や当時の織機などが描き遺されている。プリニウスを驚嘆させたその植物から作られた布は、ミイラを包む包帯やキリスト聖骸布としても知られる。
本書はリネンの歴史から特徴、栽培・繊維の準備・紡績・織布といった生地にするための一連の工程、亜麻仁油など関連する産業までを概説する。原書は一九六四年に刊行され、著者は「大昔から伝わる繊維の将来に情熱を注」ぎ、「近代化に向けた努力に最も貢献した技術者である」(「まえがき」)ことしかわかっていない。監修者あとがきでは、海外でのリネン産業の現状、日本における産業の歴史のほか、原著者のように産業の発展に携わった方々からの寄稿を盛り込み、サステナブルな素材としていまなお新しい繊維の魅力に迫る。
[目次]
まえがき
序章
第1部 リネンと関連技術の歴史
第2部 リネンに関する技術
第1章 リネンの構造と形態
第2章 生産技術と加工技術
第3章 用途および製品
第3部 フランス経済におけるリネン
第4章 フランスにおけるリネン
第5章 諸外国との競争
第4部 技術の進展とリネンの将来
第6章 リネンとほかの繊維
第7章 リネンの加工工程に関する批判的考察
第8章 将来の展望
監修者あとがき
参考文献
[監修者略歴]
香山 学(かやま・まなぶ)
帝国繊維株式会社特別顧問(元副社長)。日本麻紡績協会理事・会長補佐。MBA(経営学修士)、英国国立University of Ulster大学院。
[訳者略歴]
尾崎直子(おざき・なおこ)
国際基督教大学(生物学専攻)卒。国際協力事業団(現国際協力機構/JICA)を経てフリーランスとなり、フランス語の通訳、翻訳業に従事。科学分野・技術分野の実績がある。フランス語通訳案内士。現在、在日フランス大使館勤務。