内容説明
「神の肉」を食べたために、知性が発達した犬とのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす倫理的な問いを受け止めつつ、ポップな感性から切り込んだ、異色の連作短篇集。ニューヨーク公立図書館若獅子賞受賞作品。
《ニューヨーク公立図書館若獅子賞》受賞作品
「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬へのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす「ねじれ」の諸相に、ポップな感性で切り込む。カーヴァー風のリアリズム、ヴォネガット風の近未来SFと、実にさまざまな語り口から、神を失った世界に生きる人々の姿が描かれる。
「神は死んだ」紛争中のスーダン・ダルフール地方。神は現地のディンカ族の若い女性として姿を現す。米ブッシュ政権のパウエル国務長官は、神と難民キャンプで出会い、自らの過去に対する贖罪を試みる。しかしそこに、武装勢力が迫ってくる。
「小春日和」お互いに銃を突きつけ合い、カウントダウンを始める二人の若者が、お互いの脳味噌を吹っ飛ばした。神を失い、すべてを「さっさと終わりに」しようと無軌道に暴走する十人の大学生たち。ささくれ立った語りが疾走する。
「神を食べた犬へのインタビュー」「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬への突撃取材の記録。周囲の人間の思惑に翻弄される犬と仲間たちの流転を通じて、世界に対する悲しみとともに、「人間性」そのものが問われていく。
米で注目の新人による、異色のデビュー連作短篇集。