内容説明
ISの内側とIS戦闘員の内面を描き出す
西側ジャーナリストとして初めてIS領内を取材。戦闘員や警官、医師へのインタビュー、民衆の生活の記録など第一級のルポ。ISの内側とIS戦闘員の内面を描き出す。写真多数。
ドイツ・ベストセラーリスト1位
(「シュピーゲル」誌 Nr.49 / 2015)
「この本はISへの私の旅に読者を連れていく。読者はそこで、世界で最も危険なテロリストたちの日常や思考法をまざまざと体験することとなる。まるで自分がそこにいるかのように。」
——ユルゲン・トーデンヘーファー
IS、「イスラム国」はなぜ生まれ、どうして正視に耐えない殺戮を繰り返すのか。
ヨーロッパ出身者がISに魅力を感じ、戦闘員となる経緯について、著者はかれらと何十時間にわたる対話を続け、その母親とも面会するなかで、戦闘員たちの心の内面を浮かび上がらせていく。その後、カリフの許可を得て西側ジャーナリストとして初めてIS領内に滞在し、そこに暮らす戦闘員や警官、医師や裁判官、一般の人々に同じ問いを繰り返す。この「国」が本当にイスラームなのか。アンチ・イスラームではないのか。
一方で、西欧への批判的な眼差しも忘れない。イラク戦争の落とし子であるISに比べ、西側諸国の攻撃は犠牲者の数で言えば、それ以上に残忍なテロリズムと認めざるを得ない。ISが「イスラーム教のテロリスト」ならば、ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ブレアたちは「キリスト教のテロリスト」なのか。
外側と内側を知る著者の言葉は重く響きわたる。「新たなテロリズムを生み出さずにアラブのテロリストと闘うことができるのは、アラブの人々だけである」
原著はドイツで刊行以来ベストセラー。IS領内の写真を多数掲載。
[目次]
第1章 「イスラム国」の誕生
第2章 西側諸国の思惑
第3章 真実を求めて
第4章 「イスラム国」前線への道
第5章 テロとのチャット
第6章 ジハーディストの母親
第7章 旅の具体化
第8章 「イスラム国」への旅——ある悪夢のスケッチ
第9章 「イスラム国」のカリフと外国人戦闘員への公開書簡
第10章 ジハーディ・ジョンに関するあとがき
訳者あとがき
[原題]Inside IS: 10 Tage im ›Islamischen Staat‹
[著者略歴]
ユルゲン・トーデンヘーファー(Jürgen Todenhöfer)
元裁判官。その後アメリカの同時多発テロ事件の発生を機にジャーナリストとして活躍するに至り、数々のベストセラーを著す。ベストセラーとなった自著の出版収入を、アフガニスタン、イラク、シリア、コンゴ、そしてエルサレムにおける戦争で犠牲になった子供たちに寄付。邦訳は今回がはじめて。
[訳者略歴]
津村正樹(つむら まさき)
1950年生まれ。1978年、京都大学大学院修士課程修了。現在、九州大学名誉教授。訳書としてCh.ハイン『ホルンの最期』ほか。
[訳者略歴]
カスヤン、アンドレアス Andreas KASJAN
1956年生まれ。1986年、フランクフルト市ゲーテ大学文学修士試験合格(専攻:漢学、副専攻:日本学および独学)。1986年来日。現在、九州大学教授。
*略歴は刊行時のものです